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2010年12月12日日曜日

【天文館JIN】 TenDoku主宰・永山由高さん

朝の天文館で本好きが集まる読書コミュニティ”TenDoku
その”TenDoku”の主宰者である永山由高さんにインタビュー。




本から多くのことを学んだ少年時代
 「本は子供の頃から大好き」で、ミヒャエル・エンデの『モモ』と『はてしない物語』は、中学卒業まで何度も再読したと語る。陸上に打ち込むスポーツ少年でもあったが専門指導者に巡り会う17歳までは、陸上専門書やスポーツ雑誌から沢山の事を学んだそうだ。
本を読んで転職を決意
 銀行を辞め、鹿児島に帰り、直接地域と関わりたいと思う背中を押してくれた一冊が『リーダーシップの旅 見えないものを見る』。当時同じ職場で同年代の知人も、その本に感化され同じタイミングで退職した。
「本にはそれくらいの物凄いパワーが在る。僕は人生の節目節目に本の持つ力を痛感、体感してきた」と永山さん。



本で繋がるコミュニティ
 永山さんが主宰する読書コミュニティ”TenDoku”は「本を通じて人生をより豊かにする仲間が集う場」をコンセプトにしている。実際に参加してみると「読書会を望んでいた」、「もともと読書会を開こうと思っていた」という本好きの人が集まり、各人の持ち寄った本を紹介しあい、和やかな社交の場が出来上がっていた。
最初は二人しか来なかった。
 東京で行なわれている「Reading-Lab」という会員数が2000人を越える読書コミュニティを鹿児島でもやろうと思ったのが、TenDokuを始めたきっかけだ。今年の1月に始めたが「最初は2人しか来なくて、辛かった」と永山さんは語る。その後、東京の「Reading-Lab」の主催者にアドバイスをもらい、「天文館という鹿児島のシンボルを名前に取り込んだこと」「ビジネス色をなるべくなくしたこと」など鹿児島的にカスタマイズしたそうだ。




奄美大島支援企画ーTenDokuができること
 通常のTenDokuに加えて「今後は、TenDokuから派生したTenDoku市場などを展開していきたい」と永山さんは語る。TenDoku市場とは、平成22年10月の水害にあった奄美大島へ「何かできることはないか」と考えたことをきっかけに生まれた企画で、TenDokuの場で各人の持ち寄った本を売買し、そこから得た収益を奄美大島に寄付するという試みである。TenDoku市場は実際に何度か開催され、そこで得た収益(図書券、図書カード)を奄美に寄附している。
本から生まれる可能性
 TenDoku市場を思いついた時は新しい価値観に出会った瞬間だったそうだ。永山さん自身「毛穴が開いた瞬間だった」と彼独特の表現で語った。TenDokuで集まる本は、各々の想いが詰まっている。想いの詰まった本を紹介された人はその本を買いたくなる。本1冊にいろいろな価値がついていく。永山さんはそういう側面に気づき、行動した。TenDoku市場のような新しい仕組みが生まれたように本には色々な可能性があり、ここからまたおもしろい仕組みが生まれてくるのではないかと思わされた。
副産物としてのまちづくり
 最近、まちづくりとしての視点で取り上げられることのあるTenDokuだが、そのことについて聞くと「TenDokuっていうのは個人のストーリーなんですよ。その人にとっての本。その人にとって一緒に来た仲間。そこの個人個人のストーリーを大事にする場だという意識が僕にはあります。それの積み重ねで街が賑やかになってくれれば、まちづくりに繋がるのかもしれないですけど、ダイレクトにまちづくりをしようと思ってTenDokuをしている訳ではないんです」と永山さんは語る。それを聞いてOUTPUTのまちづくりではなく、OUTCOMEのまちづくりがそこにあるように思えた。
日曜の天文館で行なわれているTenDoku。その一つの動き、それを主宰する永山さんの話からTenDokuの様々な可能性を感じさせられた。
〈レポーター〉
班長、深々、真紀子

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